特定非営利活動法人(NPO)日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)は、6月19日、東京都港区の笹川記念館にて、平成26年度(2014年度)の通常総会を開催した。総会には外食企業、食品メーカーはじめ関係業界団体、農林水産省など行政機関の関係者の方々、約150人が参加した。
総会では、平成25年度(2013年度)の事業報告、収支決算が異議なく了承されると同時に、平成26年度の新事業計画およびそれに関連する収支予算が賛成多数で承認された。
これによって、新事業年度がスタートしたが、平成26年度事業計画の最大の「目玉」は、来年平成27年(2015年)5月1日から10月31日まで、イタリアのミラノで約半年間、開催予定のミラノ国際博覧会(略称ミラノ万博)に向けての取組みだ。
今回のミラノ万博は、食をメインテーマにするため、「食の国際博」と位置づけられているが、日本政府がかかわる日本館には、日本食を中心としたフードコート・レストランが設置され、現時点で外食レストラン企業など7社が参加予定である。このため、JROは参加予定の企業関係者をはじめ、外食関連産業の協力を得て、具体的な準備など取組みに入る。
総会の冒頭、茂木友三郎理事長(キッコーマン株式会社名誉会長)は開会のあいさつで、「JROとしては、この博覧会を通じて、日本食材・食品などの関連業界と一体となって日本食、そして日本食文化を世界市場に発信できるチャンスと捉え、出来る限りのサポートをしていきたいと考えている」とミラノ万博への積極協力の必要性を強調した。
また、日本を訪れた外国人が観光客を中心に1000万人を突破したこと、政府が2020年の東京オリンピック・パラリンピックには海外からの外国人の来日者数を2000万人にまで増やす計画があることに言及し「われわれとしても、国際化対応と言う点では、東京オリンピックまで見据える必要があるが、まずはミラノ万博を通じて、日本の食材・食品、日本食を含めた日本のフードサービス・食品関連産業のファンづくりに寄与して参りたい」と述べた。
続いて、JRO総会来賓として、林芳正農林水産大臣のあいさつをいただいたが、同じくミラノ万博や東京オリンピック・パラリンピックは、日本食・日本食文化を世界にアピールする絶好のチャンスであり、ホップ、ステップ、ジャンプの3段階の取組みが必要だと強調した。
林農林水産大臣によると、3段階の取組みのうち、ホップは昨年12月に、日本の和食がユネスコの無形文化遺産に登録された。問題はそのあとの2つで、ステップは来年5月からのミラノでの食の万博。そしてジャンプは2020年の東京オリンピックだ。いずれも世界中からこのイベントに多くの人たちが集まるので、日本食文化をアピールする絶好のチャンスとなる。日本政府は、JROのみなさんとともに、日本食を世界に向けて積極的にアピールしていきたい、という。
このうち、ミラノ万博に関して、林農林水産大臣は「今年6月16日に日本館の起工式を終えたばかりだが、メインのレストランを担当するコンソーシアムも発表した。
日本食や日本食文化の素晴らしさを世界に発信するまたとない好機だと思っているので、JROのみなさんのご理解、ご協力を得たい」と述べた。
寄稿者:牧野 義司 氏(経済ジャーナリスト、メディアオフィス「時代刺激人」代表)