平成29年度通常総会・講演会・懇親会を開催

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平成29年度通常総会

特定非営利活動法人日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)は、6月23日、平成29年度の通常総会を東京都千代田区の砂防会館にて開催した。

総会には会員企業をはじめ、外食企業、食品メーカー、関係業界団体、農林水産省などの行政機関から約170人が出席した。

平成29年度通常総会


 大河原理事長「イスラム食関連市場への対応が重要」


総会冒頭、大河原理事長より開会の挨拶があった。
「JROは設立から間もなく10周年を迎える。これまでにアジア、欧州、北米、南米、オセアニア各国において、海外日本食レストラン及び日本食市場関係者によるネットワークの構築や、海外の市場開拓に資するため、海外での日本食調理実習、日本食材・食品のメニュー開発・商談会の開催等の事業を実施してきた。
昨年ジャカルタにて開催した国際シンポジウムでは、インドネシアを含むアジア圏の豊富な労働力及び平均所得の向上により、食関連市場が強い成長傾向にあることなどから、互いに今後のビジネスチャンスへの期待が高まっていることが強く感じられた。さらに今後は年々需要が増加しているイスラム食関連市場への対応が、国内外においても最も重要な鍵になると思われる。
一方、平成28年の訪日観光客は、2400万人を超え、4年連続で過去最高を更新しているが、海外の日本食レストランは日本食の魅力の発信拠点であると同時に、輸出促進のみならず、インバウンド需要の拠点となる役割も果たしている。JROは今後も、日本産食材・食品のおいしさや安全性、品質の高さ、ヘルシーさ等を現地需要者にアピールするために、海外の日本食市場の拡大と獲得に向けた事業を展開するべく、本日ご列席の皆様には引き続きご協力を賜りたい。」

 高橋外食産業室長「世界最先端の食のシステムも積極的に海外普及を」


続いて、農林水産省の高橋外食産業室長より、来賓あいさつを頂戴した。
「和食のユネスコ無形文化遺産登録、ミラノ万博への出展を通じて、日本食への関心が大いに高まったということは皆様のご承知の通りであると思うが、この関心は一過性に終わることなく、確固たるものとして定着してきた。
また、外国人の訪日目的第一位には、「日本食を味わう」ということが挙げられており、このように日本食への関心が高まっている中で、改めてJROの設立趣旨を見直すと、「海外の日本食レストランの信頼を高めること」、「日本食・食材の海外市場開拓」といった大きな2つの目的がある。世界の注目が日本食・食材に集まる中でまさにこの2つの目的は非常に大きく、もう一度初心に立ち戻っていただき、食材は元より食のシステムというものを積極的に海外に普及していただきたい。
我が国の食における経営システムや店舗マネジメントは世界最先端だと確信している。今後も「日本産食材サポーター店制度」および「外国人料理人の認定制度」の運用管理団体として、海外普及に向けた取り組みを強化していただきたい。」

JRO大河原毅理事長

農林水産省 高橋一郎外食産業室長

 JRO3委員会が今年度の取り組みを発表


総会では、平成28年度に実施した事業および収支決算の報告、平成29年度事業計画および収支予算が議事にかけられた。

 まず、組織・企画委員会より、加藤一隆専務理事から、国内外での輸出促進に寄与するセミナーやマッチングフェア等の開催を通じて、JRO加入メリットのPR等を行い、組織拡大・拡充に向けた各種取り組みを促進する。特に、農林水産省により制定された調理技能認定と日本産食材サポーター店のガイドラインについては、こうした認定制度を活用しつつも、できる限りポジティブに改善して行くため、JROが有する海外の幅広いネットワークを活用し、こうした施策について、多くの方々が参画していくよう新たな提言も行っていく旨が報告された。

続いて、海外市場開拓委員会より、中野勘治委員長から、日本食市場拡大に向けた商談会や日本食フェアを開催し、日本の農林水産物・加工食品等のマッチングの実施。外食市場・日本食市場の拡大が期待されるアセアン地域において、日本産食材の魅力を伝えるための意見交換の場として、国際シンポジウムの開催。輸出促進・海外展開のための国内セミナーの開催等の計画が報告された。

最後に、情報・教育委員会より、服部幸應委員長から、国産農林水産物・食品の輸出拡大等を図るため、日本食・食文化の魅力を発信できる外食事業者の料理人、経営者やシェフ・ソムリエ等の育成を目的とした日本国内における日本食・食材研修の実施。国内外の調理師学校等と連携した人材育成を目的とした調理技能認定制度の積極的な活用・推進。また、広報活動を戦略的に検討し実施していく旨が報告された。

服部幸應委員長(情報・教育委員会)

中野勘治委員長(海外市場開拓委員会)

 JRO理事の改選・新体制スタート


本年度は理事および監事の改選期にあたるため、役員の改選が行われ、理事長より提案された新役員案は異議なく承認された。
本通常総会における全ての議案事項が議決されたことから、以上をもって、平成29年通常総会を終結した。

 その後、新理事による役職者互選の結果、理事長に大河原毅(株式会社ジェーシー・コムサ代表取締役CEO)、副理事長には安部修仁(株式会社吉野家ホールディングス会長)が共に再任、専務理事には福田久雄(一般社団法人日本フードサービス協会常務理事)が新任されたことが報告され、JROは新体制のもと、新たなスタートを切ることとなった。
※JRO役員名簿:http://jronet.org/about/member/

 

平成29年度通常総会記念講演会


今回の総会記念講演会では、長芋や大根、黒にんにくなど様々な野菜および加工食品の生産を手がけるなど、農林水産業の「6次産業化」の成功事例として注目されている柏崎進一氏(有限会社柏崎青果 代表取締役)より、にんにく生産量日本一を誇る青森県において、地域団体商標ブランドとして注目されている黒にんにくの積極的な海外販路開拓や地域活性化への取り組みについてお話を頂戴した。
続いて、「フードバレーとかち」プロジェクトを政策金融の立場から推進されている紺野和成氏(㈱日本政策金融公庫 帯広支店長/JRO理事)から、日本の食料基地・十勝の農業概況および長芋や枝豆などの輸出促進の取り組み・課題について、講演していただいた。

有限会社柏崎青果 代表取締役 柏崎進一氏

株式会社日本政策金融公庫 帯広支店長 紺野和成氏

平成29年度通常総会記念懇親会


 総会記念懇親会では、約200名の業界関係者が参加され、大変な賑わいを見せた。
また、懇親会では25社の食品メーカーより商品の協賛を受け、会場内に商品を展示する他、提供メニューに取り入れて実際に味わっていただくなど、会員企業の商品をPRした。

ご協賛企業は以下の通り

  秋田県農業試験場 大栄フーズ株式会社
  大潟村農産物・加工品輸出協議会 タリーズコーヒージャパン株式会社
  味の素株式会社 チョーヤ梅酒株式会社
  株式会社イクタツ 東京デリカフーズ株式会社
  株式会社伊藤園 日本水産株式会社
  オタフクソース株式会社 ハウス食品グループ本社株式会社
  帯広市川西農業協同組合 株式会社花の舞酒造
  有限会社柏崎青果 福島鰹株式会社
  キッコーマン株式会社 株式会社フタバ
  キユーピー株式会社 株式会社マル井
  株式会社協同商事 株式会社みすずコーポレーション
  株式会社新丸正 ヤマサ醤油株式会社
  住商フーズ株式会社

 

 大角亨大臣官房審議官「より戦略的な輸出戦略を進めたい」

懇親会冒頭、ご来賓の大角亨大臣官房審議官(兼食料産業局)より祝辞を頂戴した。
「日本の人口が段々減ってくる一方で海外にはまだまだ発展が期待される市場がある。そういった中で海外の需要を取ることが大きな狙いであるが、このためには農林水産業者あるいは食料産業の方々と政府が一体となってより戦略的な輸出戦略に基づいて各種取り組みを進めていかなくてはならないと考えている。
また、日本産食材の海外サポーター店認定制度では、運用管理団体であるJROがこの制度を活用して日本食・食文化を海外により普及していくことで、日本の外食企業が海外に進出しやすい環境を作り、最終的には日本産食材の輸出促進につなげられるよう、本取り組みの中核として活躍していただきたい。」

続いて、菊地唯夫氏(一般社団法人日本フードサービス協会会長/ロイヤルホールディングス㈱代表取締役社長)より乾杯のごあいさつがあり、歓談後、盛況裡のもと懇親会は終了した。

一般社団法人 日本フードサービス協会 菊地唯夫会長

平成29年度通常総会記念懇親会