すき焼きは薄くスライスした牛肉を豆腐、長ネギ、しらたき(糸状のこんにゃく)等と一緒にたれで煮焼きし、卵汁につけて食べる鍋料理です。日本では仏教の影響で一般的には肉食を禁じられていましたが、約140年前に封建制から近代社会への劇的な移行が進められるとともに肉食も解禁され、外国船が寄港する横浜で牛鍋(すき焼きのオリジナル)が生まれました。
一般的に、東日本と西日本では、その調理法が異なります。東日本のすき焼きは醤油・砂糖・みりん・酒などの調味料を混ぜた「割下」というだし汁で牛肉を煮ます。一方西日本のすき焼きは割下を使わず牛肉を焼いてそこに砂糖をまぶし醤油を直接加えて味付けをします。
アメリカ大ヒットした坂本九の「Sukiyaki」は日本では「上を向いて歩こう」というタイトルでした。アメリカでデビューする際に「外国でもなじみのある日本をイメージさせるもの」ということで曲名が決められました。
「すき焼き」と並ぶ日本の代表的な鍋物として「しゃぶしゃぶ」があります。しゃぶしゃぶには、すき焼き用の肉よりもさらに薄くスライスされた肉を、食べる都度熱したお湯やだし汁に短時間くぐらせて加熱する料理をいいます。主に牛肉が用いられるが、それ以外の肉や魚介類、野菜などのさまざまな食材も合わせて用いられます。薄切り肉が煮えたった鍋の湯にくぐらせる様子を示す擬音語から「しゃぶしゃぶ」と名付けられました。味もすき焼きに比べ素材の味を生かしたあっさりとした味で、通常ゴマだれやぽん酢といったタレに浸けて食べます。鍋は材料の種類が多く栄養のバランスが取れ、また油をほとんど使わないことから低カロリーでヘルシーな食べ物として再び注目を集めています。こうした栄養学的な点に加え、日本にはその他にも様々な鍋料理が存在し、アメリカのバーベキューと同様に家族や仲間が同じ場所で1つの鍋を囲むことは、冬の風物詩です。さらにその情を深める、一種の日本の食文化の象徴的行為ととらえられています。